★吉丸一昌記念館「早春譜の館」


外観
臼杵の中心地から「万里橋」を渡った住宅街の一角にある記念館。春になると、歌舞伎門の横には梅の花が咲き誇ります。


▲展示品
修養塾の門下生・佐世準次郎氏が所蔵していた、東京音楽学校生徒による「浦のあけくれ」のSPレコード。その他にも童謡運動の先駆となった「新作唱歌」の一部や自筆の原稿などが展示されています。


▲展示室
記念館は日本家屋の情趣が香る木造平屋建て。臼杵らしい雰囲気の中で、ゆっくり展示品を観賞することができます。


▲故・吉丸一昌
臼杵市出身で、芥川龍之介や中山晋平、山田耕作など優れた教え子を世に排出した故・吉丸一昌。43才の若さでこの世を去るまで、200〜300の作詞をしたといわれています。

童謡の先駆者として有名な国文学者の短い生涯を知る
 吉丸一昌記念館「早春譜の館」は、臼杵市が生んだ偉大な国文学者・吉丸一昌の生誕120年を記念してオープンした施設です。古き時代を思わせるこの記念館は、妻のユキ夫人の実家で、座敷が連なる日本家屋に明治の粋が漂います。春の一日、彼の代表作である「早春譜」が流れるなか、自筆の楽譜や原稿、遺品などを観賞してみてはいかがでしょうか。

 吉丸一昌は明治6年9月15日、現在の臼杵市海添に生まれました。同12年、臼杵学校に入学。向学心旺盛な一昌は、大分県よりたびたび表彰されるほど優秀な児童でした。卒業後は大分県尋常中学校(現上野丘高校)、熊本県の第五高等学校(現熊本大学)へと進学し、熊本大学での夏目漱石との出会いが、彼のその後の進路に大きな影響を及ぼしたといわれています。

 第五高等学校卒業後は、東京帝国大学(現東京大学)の国文科へと進みました。この頃から一昌は『修養塾』と称して少年10名と生活を共にし、勉学から衣食住、就職にいたるまで世話をしたり、東京で丁稚奉公している地方出身の少年や中学に行けない少年のために下谷中等夜学校を開設するなど少年の育成に力を注いでいます。

 明治34年に大学を卒業すると東京府立第三中学校(現両国高校)の教諭となり、芥川龍之介を教えています。

 明治41年には東京音楽学校(現東京芸大)の教授に招かれ、文部省より『尋常小学校唱歌』の編さん委員として作詞の主任を命じられました。その流れの中で明治45年より童謡の先駆となる『新作唱歌全十集』を発表。その中に、代表作の「早春賦」「故郷を離るヽ歌」「木の葉」などが収められています。

 大正5年、43才でこの世を去るまで多くの童謡を手掛け、音楽界や文学界に逸材を送り出した偉大な生涯の幕を閉じました。

    ♪名曲『早春譜』をきいてみよう♪

<吉丸一昌記念館「早春譜の館」>
■開 館 時 間/8時30分〜17時
休  館  日/なし
入  館  料/大人210円、小中学生110円
住    所/臼杵市市浜(市浜クラブ隣り)
■連  絡  先/?0972-63-7999