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ルーズベルト大統領夫人と弥生子 | |
弥生子は、日本国内の事だけでなく、世界の動きを常に吸収しようとしていました。弥生子の判断力が正確なのも、知識が広いためです。昭和28年8月、帝国ホテルでアメリカのルーズベルト大統領夫人と対談に応じたのもそのためです。戦時中から野上弥生子は反戦思想の持主だと言われていました。それで、ルーズベルト大統領夫人が来日した時も対談相手に選ばれたのも、そのためでしょう。その時弥生子は、占領軍の基地が多すぎると主張しました。「アメリカは国土が広い、とても広い。それに対し、日本は国土がせまい。せまい日本に占領軍の基地が多すぎる」と言いました。ルーズベルト夫人は「それは日本政府に言って下さい」と答えました。又、浅間山で実弾射撃の訓練をするうわさもあるが、それはやめた方がよい。浅間山は再び噴火する危険がある山だし、東大の地震研究所も浅間山は危険であるといっていると主張し、結果として浅間山の訓練はとりやめになりました。
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『私の見た日本の姿』 (「婦人公論」昭和28年8月) 帝国ホテルにて
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