アズール(azul)は青いまたは青の意味。azulejarは青色にする、彩 色タイルを張るなどで、azulejoの語源はポルトガル語スペイン語のアズール(フランス語ではazur、コート・ダジュール)からきている。もともとイスラム文化の影響を早くから受けて、ポルトガルではタイルが壁面 装飾に用いられた。
16世紀後半にはフランダース(ベルギー西部、フランス北東部、オランダ南西部)のタペストリー(つづれ織り)の影響を受け、教会、修道院、貴族の邸宅などの壁面 の装飾に多用された(幾何学模様や動植物を描いたもの)。17世紀後半からは、オランダから伝えられた中国風の白地に青のモノクロ・タイルが主流となった。
18世紀には病や災害から守ってくれる聖人や聖書に題材をとった絵画が好まれ、1755年のリスボン大震災の後始末を見事におこなったポンパル公爵の時代には黄・緑・赤・青の多彩 な色彩を使ったロカイユ様式が流行した(金七紀男『ポルトガル史』より。)
現在では「現代絵画」の画家たちが、その色彩・構図・表現方法などと全く同一のアズレージョ絵画を制作することも試みている。
16世紀前半まで表面に凹凸が見られたが、後半頃から滑らかになってくる。