中央アジアが原産のにんにくはエジプトやインドでは有史以前から栽培されていました。
ツタンカーメンのお墓の中からもいくつかにんにくの球根が見つかり、ピラミッドを造営するときの奴隷の食事ににんにくが用いられ、疲労回復や精力増進が図られたというエピソードがあります。
紀元前13年頃には中国にも伝わり、そのころは料理というより強壮強精作用のある薬として使われていたようです。
生のにんにくは刺激性の強烈な臭いと辛みがありますが、その正体は「アリシン」という物質。これは刻むことによって組織を破壊することで発生するものです。ところがこのアリシンは加熱すると甘味を持った成分に変わり、辛みも消えます。生のにんにくに比べ、顆粒や粉末、フレーク状の乾燥したにんにくは生よりも臭いがきつくありません。
しかし水分が加わると、酵素が働いて臭気が強まるので湿気には注意が必要です。
お菓子づくり以外のお料理には欠かせない、出番の多いにんにく。栄養面ではビタミンB1の吸収を高める効果があります。
万能薬ともいわれ、健胃剤、強壮精力剤、疲労回復剤、風邪の予防薬、呼吸器疾患、肝臓障害や防腐剤としても効果を発揮する優れたスパイスです。
お料理の内容によって生や顆粒、粉末、フレークと使い分け、より風味豊かなお料理を目指しましょう。
ブロッコリーやキヌサヤなどの青臭さが気になる人は、茹でる時に半カケのにんにくを薄切りして入れると青臭さを取ることができます。
その後、炒める時はそのままにんにくを一緒に炒めると臭みを取る上に、にんにくの香ばしさが加わって一層美味しくなり一石二鳥です。