夜空が澄みわたり星空が美しくなる季節、牽牛星と織女星が七月七日にだけ天の川を渡って会うことが許されるという「七夕」の伝説があります。
平安時代には、貴族は庭に星の座という祭壇を設けて、海の幸や山の幸を供え、たらいの水に星を映して眺め和歌を交換したり、詩歌や管弦、裁縫などの上達を祈願しました。江戸時代には、幕府が七夕を5節句に定めたため武家の間でも七夕がさかんになり願い事を書いた五色の短冊を笹竹に飾り、習字や習いごとの上達を願う行事として、庶民の間にも広がっていきました。
また、宮中では七夕の儀式に供え物の一つとして素麺の原型となった「索餅」(さくへい)を供えました。宮中の儀式、作法を集大成した「延喜式」(927年)にも書かれています。機織り上手の織姫にちなみ、素麺を糸に見立てて供え、健康を願い“健康長寿食”とし七夕に素麺を食べる習慣が生まれました。さて、日本には“三大素麺”と呼ばれる素麺があります。兵庫県の「揖保乃糸」、奈良県の「三輪素麺」、香川県小豆島の「手延そうめん」で、その歴史は400年から500年前からの伝統食です。富山県砺波市の「大門素麺」は、11月から3月の冬に深夜から明け方までかけて作られ、50kgの小麦粉を60kmに伸ばして作られ食べ頃は一年後からといわれます。
暑さに向って、冷やし素麺や流し素麺は季節の風物詩ですが、素麺のレシピが17.000以上もあるそうですから楽しみながら自分流に食べられる料理ですね。