俳人の松尾芭蕉や西鶴だけでなく、「月」というお題には夏目漱石までもが1句をひねっています。思わず俳句でも作ってみたくなるほど美しい十五夜。陰暦の8月15日は「中秋の名月」です。1年中夜空に月は出ますが、秋の月が最も美しいといわれています。
中秋節の行事は中国からの伝来。平安時代に日本に伝わり、延喜9年(909)に初めて行事が行われました。十五夜にはススキを主にして秋の草花や季節の果物を供え、満月にちなんで丸い小芋や月見団子などを食べながら月見をします。ちょうど季節が収穫期でもあり、秋の十五夜に旬の芋を供えていたことから「芋名月」と異名をとるようになったのだとか。 この夜は、月の光で針に糸を通すことができれば裁縫が上達するとか、この夜に搾ったヘチマの汁は肌を美しくするなど、女性にとってはちょっと気になる俗信もあります。 暑い夏が過ぎ去って涼しくなった夕暮れ時。虫の音が聞こえる中で月を愛でながらお芋やお団子を頬ばり、月見酒をするのはなんとも風流なものです。
下茹でして薄味で煮含め、柚子を散らして季節の香りを
添えるのがポイント!
材料(4人分)
サトイモ(皮つき)・・600g
《煮汁》
だし汁3カップ、酒大さじ2杯、砂糖大さじ3杯、薄口しょうゆ大さじ2杯、塩小さじ1杯弱、みりん大さじ1杯
削りガツオ・・1カップ
柚子の皮・・・1個分
下ごしらえ
(1)サトイモは洗って月見用に丸く形を整え、洗う。
(2)柚子の皮は黄色い部分だけをすりおろす。
作り方
- 25X20cm大のさらしの袋に削りガツオを入れ、口を閉じて2つに折る。
- サトイモを鍋に入れかぶるくらいの水で柔らかく茹で、水洗いする。ふたたび鍋にサトイモを入れ、だし汁、酒、砂糖を加えてひと煮する。
- 2に薄口しょうゆ、塩を加え、削りガツオの袋を入れ、蓋をして弱火で7~8分煮含める。
- 蓋と削りガツオの袋を取り、みりんを加え、煮汁がなくなるまでつや良く煮上げる。器に盛り、柚子の皮をふる。
- Q.袋入の削りガツオを使うのははなぜ?
- 削りガツオ入りのさらし袋は、煮汁にうま味を加えながら、落とし蓋の役目をします。さらしの袋がなければ、きれいなふきんに削り節をはさんで、中身が出ないように折り込めばOKです。
旬の味覚
魚介類 |
イカ、ハモ、アジ、カマス |
野菜類 |
オクラ、れんこん、ピーマン、さつま芋、キュウリ、生姜、ナス、キャベツ |
果物類 |
なし、いちじく、ぶどう、栗、ざくろ、ぎんなん |